特別講演

独立法人情報処理推進機構 デジタル人材センター
国家資格・試験部 エキスパート
石田 淳一 講師


本日は、これから60分お時間をいただきまして、IPAという組織がデジタル人材育成に関してどのような取り組みを行っているかについて説明させて頂きます。

私どもIPAは、デジタル人材育成、特にDXを絡めて頑張っております。様々な施策を実施しており、IPAという組織が、人材育成に関してどんな取り組みを行っているかということをご紹介しながら、皆様にメッセージとしてお伝えできればと思っております。

私どもはデジタルで豊かな社会をということミッションに掲げて活動している団体です。私どもの活動をまとめた動画を準備しておりますので、最初にこちらの動画を見ていただきますと、私どもIPAがどんな組織かということがご理解いただけると思います。ちょっとお付き合いください。

【動画内容要約】

社会課題は多様化しています。デジタルの力で社会課題の解決や経済成長を目指します。そして産学官が連携する場を作るのが私たちIPAです。私達は、人材のデジタルリテラシー向上を支援、さらにイノベーションを起こせる人材同氏のネットワークを広げることで、デジタル社会を発展させる役割を担っています。デジタルで豊かな未来をそんな未来に向け、私達はそのインフラとなるデジタル基盤を構築し、イノベーションが次々と誕生する社会を目指していきます。

一部ではありますが、実は私どもIPAはこのような組織でございます。もしかするとIPAというと国家試験のイメージがほとんどで、他は子供たち向けに、情報セキュリティコンクールをやっている団体だろうと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、結構大きなことを私どもはやっております。

一つ目はデジタル基盤の提供というものを私ども目指しておりまして、このアーキテクチャ設計、実装このようなものを私どもIPAは行っております。

私どものホームページで、その他のものも実際に情報提供させていただいています。例えば、四次元時空間の情報基盤、アーキテクチャというガイドラインというのも先日発表しております。自動運転とか、ドローンが安全に高頻度で高密度に効率的に行き交うことができる、様々なガイドライン、報告書そのものを出しているという活動をしております。

それをホームページ等で様々公開をさせていただいております。その中でデジタル人材育成ということで、私ども様々な人材育成、取り組んでいますけども、ここにDXです。まさにDX、もう待ったなしということで、このDX推進をIPAが担っているということもあり、この人材育成も様々な施策を打っているというところでございます。

 その中で、あまりご存知の方が少ないかもしれませんが、私どもは元々専門がセキュリティなのです。もし重要インフラが狙われたらどうなるということで、重要インフラの人材も、このサイバー攻撃、世界から来るサイバー攻撃に耐えられるような人材育成が必要になることから、私ども産業サイバーセキュリティという部署を作って、そこで、この重要インフラの技術者にサイバーセキュリティ問題に対して対応できるような人材を在籍させ施設を作り込んでいるというものです。

重要インフラのサイバーセキュリティに対応できる人材を作っていくこの取り組みを実際行っております。全国各地の重要インフラの事業者様から、本当にエースの方々に、私どもにあります東京の方に実際に1年間、近くに住まいを用意していただいて、毎日私ども施設の方に通っていただいて、1年間、みっちりこのサイバー攻撃に対応できるような人材を育成していく。このようなプログラムに参加をいただいております。こちらは有償にて1年間500万というような金額はいただいておりますけども、技術的にまさにこの重要インフラのITだけじゃなくOTも含めてどういうふうに守っていかなきゃいけないかということを徹底的に学んでいく。また、そこには周りに同じような方々と切磋琢磨しながらそういう技術を身につけて、未来の日本のITを見据えて本当の未来を実現していく。これからを担う人材を育てるために、プッシュアップする大きなプロジェクトとなっています。

未踏事業という取り組みでは、イノベーション創出することができ、本当にゼロから作っていくことができる。本当に日本をこれから支えていく若者、こういう方々の力をさらに、加速できるような支援をしていくと斬新的独創的なアイディアを形にし、そんな環境プロジェクトなども私どもIPAで行っているというところでございます。

そういう中でDX、デジタルトランスフォーメーション。こちらの方がもう昨今当たり前でございますが、DXって何なのかこのあたりを普及啓発するこんな活動なども、様々なものを行っておりまして、動画、またガイドライン、ホワイトペーパー的な様々なものの準備をしております。

なぜ今、デジタルトランスフォーメーションかをわかっていただけるような動画なども用意をしております。

【動画内容要約】

Q: なぜデジタルトランスフォーメーションが必要なのか?

A: 改善だけでは限界があり、テクノロジーで人間の力を飛躍的に向上させることができるから。 また、デジタル革命の波に取り残されないためにも必要。

Q: デジタルトランスフォーメーションが実現できない理由は?

A:
1)デジタル化が目的化してしまっている
2)経営トップがコミットしていない
3)ITシステムの改良が進んでいない

このような動画コンテンツを多数用意しております。その中で改めてございますけどもDXはなぜ必要なのかということで、日本は63ヶ国中、29位と低迷し。人材、DX技術スキルが62位でありこのことが問題となっています。日本では76%の企業でDX人材が不足しているということで、米国と比べると、大変日本がこのDX人材が不足して感じることがあまりにも多いということです。

これが今、このDXという流れの中で全ての産業にまたがって、このデジタル人材というものが必要になって、今までのITSSのようにIT技術者に特化した形の標準ではなく、まさにこのデジタル人材に関するスキル標準、こういう指標が必要ではないかということで、私どもIPAの方でこのデジタル普及標準というものを発表させていただいたというところでございます。

こちらの方のデジタルスキル標準、人材類型として5つ挙げております。ビジネスアーキテクト、デザイナー、ソフトウェア、サイバーセキュリティ、データサイエンス。このビジネスアーキテクトやデザイナーなどは本当に新しい部分になってくるかと思いますが、これからのDXのこの時代にデジタル人材というものは、この五つをこの人材類型があるこういうものが必要になってきて、当然お1人ですべてできる方もいらっしゃれば、その部分一つに特化した場合は、外部または関連会社との協力関係を作って対応する。また、それぞれの部分で様々な知識、今持ってる知識、これはどのレベルなのか、さらにこのデザインの知識としてアップデートするためには何が必要か。こんなことを探っていく標準化として見ていただけるものに育てていくということで、こちらも随時バージョンアップしながら、IT業界だけじゃなく、全ての産業の皆様に使っていただこうということで、結構チャレンジングな普及啓発を今頑張っていこうということで活動しています。

その中でスキリングがDX推進で注目されているITパスポート試験というのはご存知でしょうか?昔は、このIPの試験というのはIT技術者様、IT技術者が受ける試験こんなものだったかと思うんですが、今、13種類ある。レベル1というところにこのITパスポート試験というものがございまして、こちらはIT技術者というよりは、非IT企業、いわゆるIT技術者じゃない方々に資格を取ってもらおうというような試験制度なんですが、このITパスポートというのが本当に飛躍的にどんどんどんどん伸びております。

もう受検者数が30万人に近づくというところでございます。これはどのぐらいの数字かといいますと、実は私どものIPAの試験は年間約60万人受験をいただいておりますが、このITパスポートでこの半分30万人がこのITパスポートを受験しています。これが現実なんです。そういう意味では、IT技術者向けでもないというような立ち位置になっているということございます。

なぜこのように伸びてるかという中で、様々なところで騒がれているところを見ますと、DX推進の第一歩としてこのITパスポートを利用している。こんな声がそのままマスコミさんも含めてですね、よく聞こえてきております。飛躍的にこの試験、ITパスポートの試験の受験者というのが増えているというところでございます。

非IT企業で、このITパスポート試験というのはどんどんどんどん使われていると、利用されてるということです。そういう意味では、裏を返しますと、多くの一般企業で最低限のITリテラシーを持つ方がどんどん増えているということでございます。

またこちらの業種を見ていただくと、金融保険業、建設業こういうところ大変多く伸びております。そういう中で昨年見ますと、電気ガス業界というところでも大変大きな伸びがあったというデータ等も出ておりまして、本当にもう業種関係なく様々な業界でDXへの取り組みが始まっています。

やはりこの試験というものを取り組んでいただきますと、私も国家試験資格でございますので、これを学ぶことによって、網羅的に一通りですね、いろんな言葉を学べる。最低限のリテラシーを持ってる必要性があるということで、営業販売を含めてですね、様々な業種も本当に業務内容とか、勤務年数関係なくですね、様々なところでこのITパスポートというのが活用されているというとこでございます。

また、こベテラン社員様にも活用いただいてます。先日もある地方の銀行に訪問しました。そこで訪問したんですがDX何かやってますかというと、各部署の部長さん集まっていただいたんですが、実際、シニアの方々、こういう方々にもどんどん受験をいただいております。

これから入ってくる子たちは当たり前のようにデジタルネイティブで入ってくるわけです。そういう新人と直接話していくという中で必要なんじゃないか含めて、こういうシニアベテラン社員の方々も受験をいただいているというようなデータも出ております。

実際、先日ある業界団体の理事長様にお会いしてきました。その方は60を過ぎてからITパスポート受験したと言ってました。大体知ってることだったんだけども、やはりこの試験っていうのを勉強すると、網羅的に勉強するのでちょっと不確定だったなっていうのが改めて理解しなおした。なんてことで、これは60の僕でも取れるんでということで、全役員もちろん社員も含めてなんですが、取ろうという大号令をかけ、このITパスポートというこちらの試験でございますけども、単に試験で1人1人個人が受けるという形ではなく、企業でも組織でも使えますよということで、実はこのITパスポートというのには、バウチャーチケットなんて制度もございまして、誰が受験したか、、その人たちがどのぐらいの点数を取ったか、そういうものを会社で管理するこんな機能などもついております。

こちらはバウチャーチケットというものを使っていただくことによって、このITパスポートというもので、実際どの分野が弱かった、どの分野が非常に点数が高いなどの分析もできるようになっております。ある会社の社長様には、もしかしたらこういうものはこの人事評価、こういうものももしかしたら活用できるんじゃないかなんていうふうなお声をいただいたこともございます。

また、ある会社では一般的な資格というものはそれぞれ実務的なもの含めてどんどん取ってるんだけども、あるものに関しては全社員みんな取らせて、それを3年に1回ぐらい毎回受けさせて、なんてことでアセスメントに使うこんなことを考えてるんだろうという話もございましたが、このITパスポートの話をしたら、これで経営的な観点とか会計とかいろんなものが入ってるんであれば、もしかしたらその幹部社員含めてですね、こういうものをみんなに受けさせると改めてちょっとこの辺がしっかり理解できないところがあったのかというものが見えたり、また含めていろいろ活用があるんじゃないかこんな声もいただいたりするところがございます。

私ども試験、ITパスポート以外にセキュリティでは2種類。情報セキュリティマネジメント、情報処理安全確保支援士試験、こちらは試験から国家資格にアップデートできる。試験に受かった後に登録をすると、国家資格になるこのような試験制度を私も持っております。

セキュリティに知識を持った技術者こういう方々も必要になってくるんじゃないかということで、情報処理安全確保支援士というですね、これは私ども13種類の国家試験を運営してるんですが、唯一の国家資格と、いう形で、この情報処理安全確保支援士という制度を作っております。

こちらの方は他とはずいぶん違いまして、欠格事由ということで、こういう人は支援士になれませんと。いうものが定義されております。

毎年セキュリティに関する講習を受け、3年に1回は本格的な講習を受けなければ、登録を継続できない、こんな資格制度になっております。そういう意味では本当の専門家としてですね、お付き合いできるんじゃないかと思います。

お客様に進める中で、セキュリティのことを知っていると重みが違う。また、そこでいろんなセキュリティの専門企業と話すのを対等に話せることによってより一段と信頼関係が結べた。

また、社内に対しても、自ら取ってることもあって力強く、社内にこういうことが推進できると言っておりました。またもう1種類は情報セキュリティマネジメント試験ということで、多くの方にそんなに専門性がなくても、会社内でマネジメントしていく方に最低限のセキュリティ知識を持っていただこうというような試験制度として、情報セキュリティマネジメント試験というITパスポートの一つ上という形で、このような試験制度も用意をしております。

そのときに最低限セキュリティに関する網羅的な知識こういうことを持つのはどの会社でも絶対必要ではないかと私は思っております。

今私ども試験作成は、ほぼ民間の方々ばかりです。9割近くは民間の最前線の方々が試験を日々作り込んでいます。またこのセキュリティ以外の基本情報というまたは応用情報、高度情報こんな試験も用意をしております。こちらは基本情報というのは昔の2種という試験でございます。1種というのは応用情報という名称になっております。ワンランク上のITエンジニア高度情報になると様々なものがございます。全てのものは、IT関係だけじゃなくてプロジェクトを回していくということをやると思いますが、プロジェクトマネジメント能力こういうものをちゃんと持ってる方がプロジェクトを回してるからこれは証明する一つとして、私もプロジェクトマネージャーの試験、こういうものを活用できるんじゃないかと思います。

様々なプロジェクトを管理するための手法、そういうものをしっかり身につけなければ受からない試験になっておりITストラテジスト試験という、IPAの13種の区分の中で一番上だなっていうふうに言われたりもしますがこちらの方は、デジタルスキル標準で言っていたアーキテクトデザインと言われる部分も含めたもので、経営者の目線で物事を考えなければ受からない試験です。経営者目線で論文等も書いていくことができなければ受かかりません。そういう意味では、これからの解決を含めて当然ですが、上からこれを調べ、これを報告あげろと言われたときに、躊躇なく、すぐに文章をまとめて、経営者目線でしっかりしたレポートを出すことができる。こんなことが、この資格を持っていただくと可能になるというふうにこの資格を持ってる方に言われたことがありました。

業務効率は全く違う、このような経営目線で考えることができるということでちょっとご紹介をさせていただきました。企業の活用として、このようなものをいろいろ用意しているということで、ぜひ、この試験の方もご活用いただきたいと思います。

それから最後になりますが、冒頭にもご紹介いただきました、私ども広げよう情報セキュリティコンクールを長年開催させていただいておりまして、今年も大分県情報サービス産業協会様からご協力をいただきまして誠にありがとうございました。

 小中高の子供たちに対し情報セキュリティ意識を啓発するような様々な作品を作っていただいておりまして、すばらしい啓発作品がこのコンクールによって生まれております。

私どもIPA、全て今日ご紹介したものはホームページに載っておりますので、ぜひ一度改めて私どもホームページをご覧いただければと思います。

どうもご清聴ありがとうございました。

社会・産業のデジタル変革|IPA独立行政法人情報処理推進機構

前の記事

会長挨拶

次の記事

来賓代表挨拶